大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和25年(う)2872号 判決

原判決は昭和二五年一月一六日、同年二月二三日、同年四月二六日付起訴状による各窃盜被告事件を併合審理の末右起訴状記載事実全部を有罪とし判決書に起訴状記載の公訴事実を引用し且つその証拠説明として所論の通り(ろ)第七号事件についてはとか、昭和二五年(ろ)第二一号七一号事件についてはと前提して夫々その証拠の標目を掲げている。而して所論は右(ろ)第何号事件とは単に裁判所内部の事務処理の便宜に出たに止まり、被告人に告知してないから、被告人に対する効力はないに拘らず之を判決書に引用することは不当であり理由不備となると主張するものである。しかし新刑事訴訟法は有罪判決に証拠の標目を示すことを認め刑事訴訟規則に於ては起訴状記載の公訴事実を判決書に引用することができることゝ定めているのであつて、かかる措置を認めた根本精神は判決書の内容が記録と対照することによりいかなる事実を有罪としたかを確定し得れば足りるとしたに外ならないのである。所論が非難する(ろ)第何号事件というような表現方法も記録と対照するとき、そこに不明確だと認められる点は少しもないばかりか、このような表現によつて、被告人の防禦方法に不利益を来したことは認められないのであるから(ろ)第何号事件とはいかなる事件かを被告人に告知してなくても判決の理由不備とはいえないところである。所論はその理由がない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!